
記憶ネットワーク再構築療法

※ はじめに、「記憶ネットワーク再構築療法」は私が作った造語で、心理学の世界に正式に存在する心理療法ではないことを、お断りしておきます。
心の苦しさに関する一般的な考え方
- 悩みがあるから心が苦しい
- 悩みが解決すれば心の苦しさから解放される
これが一般的な考え方だと思います。
ですから、多くの人は心が苦しいと感じるとき、課題を解決すると心の苦しさも解消すると信じ、何らかの課題を解決しようと取り組んでいます。
一般的な心理カウンセリング(= 来談者中心療法)
来談者中心療法と呼ばれる一般的な心理カウンセリングでは、心の苦しみを抱えながら課題を解決しようと努力している相談者の気持ちに寄り添うことで進められます。
相談者は、苦しい気持ちの自分に寄り添ってくれる心理カウンセラーとの関わりの中で、
- つらい自分が責められない
- つらく感じても良い
- 自分は変わらなくても良い
(変わらなければならないような悪い存在ではない)
と思える体験を繰り返すうちに次第に心が楽になっていき、心理カウンセリングは終結を迎えます。
心が楽になる理由
一般的な心理カウンセリングによって気持ちが楽になる理由は、
- 自己受容ができるようになったから
- 自己肯定感が高まったから
- カタルシスを得たから
- 気づきが起こったから
というように理解されることが多いようです。
しかし、そのような体験を速やかに意図的に引き起こすことは難しいところがあり、一般的な心理カウンセリングでは、気持ちが楽になる体験につながりそうな働きかけをしながら、そのような体験が、半ば偶発的に起こることを待っているようになってしまいがちです。
更に、そのようなことを心理カウンセラーが意識していたとしても、相談者はあまり意識していません。
ほとんどの相談者は、当然、悩みの解決するためにカウンセリングを利用されますが、何かを解決しようとすると、悩みの原因やその解決方法に意識が向いてしまいます。
これらの思考は、相談者の方の「心の苦しさは簡単には解消しない」ということが前提になっている為、原因や解決策を考えれば考えるほど、「心の苦しさは簡単には解消しない」という暗示を強化してしまうことになります。
ものごとの解釈
また、ものごとに対する解釈は人それぞれですから、原因や解決策などの考えだけに意識を向けてしまうと、議論に陥りがちです。
どちらの説が正しいかの決着をつけたとしても、それは「前に進んだ」というよりは「振り出しに戻った」というイメージで、それによって何かが解決することはありません。
議論は、お互いの心理的なパワーを消耗させてしまいますから、議論的な傾向があるコミュニケーションを繰り返していると、楽になるどころか、カウンセリングをやめたくなってしまいます。
「何ヶ月も(何年も)カウンセリングを受け続けているけど、気持ちが楽にならない」といったことになってしまう可能性もあります。
このように、相談者の悩みを解決したいという気持ちの根底の感覚や感情ではなく、その気持ちが作り出した原因や解決策には、カウンセラーが目指していることを妨げる力として働いてしまいます。
また、決して議論にはならなかったとしても、長くカウンセリングを続けていても気持ちがなかなか楽にならないと、「いつまで続ければいいのだろう …?」、「こんなことをしていて、本当に気持ちが楽になるのだろうか …?」という不安な気持ちになってしまいます。
このような状態に陥ることを回避する為に、インテーク面接は重要なのです。