12 運命を分けるささやかな望み

前節では、日常生活の中で、自分に生じるちょっとした望みに気付いて、1つ1つ実現しながらたくさんの小さな満足で自分を包んでいくことが、幸せを感じることや自分らしく生きることにつながるという説明をしました。

これと同じように、心理カウンセリングの目標も、心理カウンセリングの中で「望めば叶う」というイメージをつかみ、「日常生活でも、自然に望んで叶えられるようになること」ということもできます。

ただ、本当は、直ぐ叶うような些細なことなのに、相手の問題によって、それが妨げられることがあります。

それは、「望めば叶えられるちょっとした望み」の最後の2つのような望みです。

●「嬉しい気持ちを聞いてもらいたい」と望み、誰かに「話を聞いて欲しい」と依頼し、気持ちを話して一緒に喜んでもらえる

●「悲しい気持ちを聞いてもらいたい」と望み、誰かに「話を聞いて欲しい」と依頼し、親身になって話を聞いてもらえる

これらのようなことは、子供の頃の自分にとって最も親密な相手(主に、親や養育者)との関わりによって、「とても簡単に叶うこと」と「叶えることが困難なこと」のどちらかに印象づけられるところがあります。

「叶えるのが困難なこと」として心に刻み込まれてしまうとき、「それが自分の望みである」という気持ちも封印され、その望みを諦めたことにも気付けなくなってしまいます。

また、気付けなくなってしまった本当の気持ちとは裏腹に、それを望むことを馬鹿馬鹿しく感じるようにさえなります。

そして、次に挙げるような、生きる上で大切な「心をメンテナンスする体験」を積み重ねることを阻害し、「心が関わるとされる様々な問題」を生じさせることにつながるのです。

■些細なことでも、自分にとって嬉しいことを一緒に喜んでもらうと、「心が満たされた感覚」が増幅されて、次に自分がやりたいことをするための気力や勇気として蓄積される。

■些細なことでも、自分にとってつらいことを親身になって聞いてもらうと、「安心な気持ち」を取り戻す。更に、「また、つらくなることがあっても、同じように安心になれる」という安心感も蓄積される。