04 認知の歪み

認知の歪みという言葉があります。

この言葉は、「コップ半分の水」という話によって、プラス思考・マイナス思考という概念を用いて説明されることが多いです。「コップ半分の水」の話では、水が半分入ったコップを見て「水がコップに半分しかない」と考えるとマイナス思考、「コップに半分も水がある」と考えるのがプラス思考と説明されます。

この話を、「コップ半分しかない」と考えずに「コップ半分もある」と考えられるように、認識の仕方を修正することが大切だと理解している人もいます。

「同じものでも違う見方がある」という考えに従えば、その理解で良いのかもしれませんが、心の苦しさを理解しようとする場合、その理解だけでは足りません。

例えば、綺麗な泉の近くに住んでいるのなら、別に水は重要ではないので「コップ半分もある」と考えるのは当たり前です。たとえコップが空っぽでも、それを問題に思うことはありませんし、その事実によって絶望させられることもないでしょう。

水についての重要性や問題点が意識に上ることすらないのが普通です。

ところが、砂漠の真ん中に住んでいるとしたら、「コップ半分もある」と口では言えても、そのコップの水を一気に飲み干すことなど、できるはずがありません。

大事に少しずつ飲むはずです。

砂漠の真ん中では、「コップに半分もある」と思うのは自分を誤魔化すためであって、心からそう思っているのではないのです。

これらのことから、認知の歪みとは、「意識している対象に関する認知」ではなく、「意識している対象の背景(意識している対象以外のこと)に関する認知」によって生じているといえます。