02 本当の問題の解決

「心の苦しさには何らかの原因があり、その原因を突きとめて解決しなければ心の苦しさは解消しない」と考えている人は多いと思います。

この考え方自体は正しいのですが、ほとんどの場合、原因探しの方向が間違っています。

そのため、自分1人だけで心の苦しさの解消に取り組んでいると、その誤りを修正するきっかけを得にくいので、いつまでも解決できなかったり、解決できても数年・数十年という単位の遠回りをしてしまうことになります。

「心が苦しくなる原因を解決すれば、心の苦しさは解消する」という考えは、「原因があるから結果がある」という因果律に基づいた仮説です。

この仮説が正しいことを証明するためには、原因に何らかの対処をすることによって、心の苦しさを解消する必要があります。

しかし、このように考えると、原因と思えることを見つけ出した時点で行き詰まってしまいます。

因果関係を考えれば、原因は過去にあることになり、「過去は変えられない」という現実に必ず突き当たってしまうからです。

「現状に何かの問題があれば、それを取り除けば良い」と考えることもできますが、その問題が生じてから心が苦しさに耐えられなくなるまでには、ある程度の時間が経過しています。

そのように考えると、「その問題が生じてから、現在に至るまでの間に、自分の心の苦しさに適切な対処ができなかった」という過去のことが、「現在の心の苦しさ」の原因と考えることができます。

ここで「原因を解決すれば、心の苦しさは解消する」という仮説を捨てる必要があるのですが、なかなかそれができません。

行き詰まらなかったとしても、ほとんどの場合、その原因となる状況を再び起こさないために、未来に向けての予防策を考えています。

そのように未来の予防策を考えることは、最初に立てた「原因に働きかけて、今の心の苦しさを解消する」という仮説から逸脱した思考なのですが、多くの場合、そのことには気付きません。

行き詰まってしまった場合は、自分の心に問題を求めたり、脳内物質を根拠とする投薬治療しか道がないと感じたりしてしまいます。

過去が原因だととらわれ続けて、「今の苦しさを解消する方法はない」と諦めたり、過去の出来事や過去に出会った人たちを憎み続けたりする人もいます。

前に説明した偽解決にこだわる人もいます。

現状の課題を見つけ出しては、それらを次々に解決しようとする人もいます。

いずれにしても、「今の心の苦しさを楽にすることにはならない」ということが想像できると思います。