心の苦しさと悩みを解決する記憶ネットワーク再構築療法

05 条件反射に支配され自分の思い通りに行動できない苦しさ

5-1 行動・思考は感覚によって操られる

私たちは、自分の意思で行動していると思っています。

しかし、「感覚や感情に操られている」と理解する方が現実に近いところがあります。

以前、催眠の暗示を利用してくしゃみが出るかを確かめたときのことです。

詳しい説明は省きますが、「くしゃみが出る」という暗示に、協力者は「鼻がムズムズして、自然にくしゃみが出た」と、その体験を教えてくれました。

暗示の際には、「鼻がムズムズする」という言葉は使わなかったのですが、鼻にムズムズする感覚が生じたのです。

「頭が白くなって話せなくなる」と困っている方がいました。

そこで、「頭が白くなる」という感覚を催眠状態の中で取り除くと、それまで話せなかったような状況でも、何の問題もなく話せるようになるということが起こりました。

その他の実験や催眠療法の実践から、「感覚によって行動が起こる」、「感覚によって行動が抑えられる」というように、「行動」には「感覚」が大きく関わっているという結論に至りました。

また、「思考」も「感覚」に操られているところがあります。

例えば、目の前に子犬がいるとき、その子犬に「怖さ」を感じれば避ける方法を考え、「可愛さ」を感じれば触る方法を考えるような感じです。

「感覚によって行動や思考が操られる」ということを「感情によって行動や思考が操られる」と言い換えることもできます。

生き物は、自分に生じる快・不快という単純な感覚に従って生きています。

人間は、この快・不快の感覚を、そのときの状況やそれが生じた背景を踏まえた解釈によって分類し、その分類のことを感情と呼んでいるのです。

ですから、感覚も感情も同じことです。

(以降、「5 条件反射に支配され自分の思い通りに行動できないストレスによる苦しさ」の中では、解釈が付け加わっていない感覚と感情を合わせて、「感情」と表現することにします。)

5-2 感情の生じるタイミング

「感情」は、「事前感情」と「事後感情」に分けられると考えています。

「事前感情」は、条件反射を生じさせるための感情です。

事前感情に反応して行動すると、過去と同じつらい経験を回避できる確率を高められますが、その反面、自分本来の自然な行動を妨げるように働いてしまうところがあります。

「事後感情」は、「経験によって単純に生じる事後感情」、「結果や現状を、価値観や目標で評価することによって生じる事後感情」の2種類に分けることができます。

「経験によって単純に生じる事後感情」は、そう感じるのが当然な感情です。

その感情を否定することなく適切に対処することが大切です。

「結果や現状を、価値観や目標で評価することによって生じる事後感情」は、「自分の価値観での評価によるもの」と「他人や社会の価値観での評価によるもの」の2つに分けることができます。

どちらも評価をしなければ生じることのなかった感情です。価値観に偏りがなければ、誰も苦しむことにならないのですが、現代社会の価値観の偏りは容易に修正することはできません。

ですから、せめて自分の価値観では、「自分を守る評価」ができるようになりたいところです。

いずれにしても、心にダメージを与えるような評価をしてしまったら、つらくなるのは当たり前です。

そんなときは、考え方を変えようとする前に、まず、「2 誰でも同じように感じる苦しさ」のところで説明したような方法で心を回復させることが大切です。

5-3 条件反射を強化する要因

つらい経験をするだけでは、強い条件反射を身につけることにはなりません。

次のような要因によって、身につく条件反射は強くなったり、弱くなったりします。

【条件反射化を弱める要因】

○つらい気持ちになったとき、抱きしめて安心な気持ちにしてもらえる

【条件反射化を強める要因】

○つらい気持ちになったとき、放置される

○つらい気持ちになったとき、更に責めて、もっとつらい気持ちにさせられる

経験に伴う感情が学習を生じさせ、その感情の強さと持続時間が、学習を強化します。つらい気持ちのときに、その感情を受けとめてもらえれば、気持ちの回復は早まり、学習は強化されません。

更に、「つらくなっても、優しくしてくれる人がいる」、「つらくなっても、直ぐに安心になる」といったことを学習することになり、つらくなりそうなことが、そんなに怖いことではなくなります。

このように考えると、怒られることを平気で繰り返す子供のことが理解できます。

それは、個性としての面もあると思いますが、家庭でつらい気持ちをしっかりと抱きしめてもらえている証しだと考えられます。

逆に、家庭での感情の受けとめが足りなければ、2度と失敗をしないように気を張り続けるような神経質な性格になると推測されます。

ですから、強い心とは、生まれ持ったものというよりは、つらい気持ちを十分に抱きしめてもらった子供に、後天的に芽生えるものと考えられるのです。

「つらい気持ちになった人を、更に、責めるはずがない」と思うかもしれませんが、責めていると自覚できていないケースも多いのです。

小さな子供が泣いているときに、「わがままを言うんじゃありません!」と責めるのは、その代表的な例です。

子供は、逆らっているのではなく、悲しくて泣いているだけなのですから、ただ、抱きしめてあげれば良いのです。

何かに失敗して落ち込んでいる人に、「そんなことくらいで落ち込まなくても大丈夫」などと励ますことは、感情を否定する意味があるので、悪気はなくても相手に責めていることに近いメッセージを送ってしまいます。

嬉しい経験でも学習は起こります。

自分にとって良いことが起こったときに、自分の嬉しさに共感してもらえると、その良い出来事による学習は強化されます。

しかし、嬉しい気持ちになっている自分が、無関心なまま放置されたり、逆に、否定されたりすると、嬉しかった経験もつらい経験に変わってしまいます。

また、「自分の嬉しさは表現してはいけない」、「こんなことで嬉しくなってはいけない」といったことを学習して、次第に自分の嬉しさを表現しなくなり、やがて自分の喜びに気付けなくなってしまいます。

5-4 自分を守る条件反射

自分の安全を守るための条件反射のうち、何らかの形で人が関与しているものは、大きく2つに分類でき、次のような流れで、自動的な自己防衛機能として働きます。

■その行動をすると、つらくなる確率が高いため、行動を抑制して守ってくれる

(1)学習のもとになった経験をしたときと同じ雰囲気を感じると、事前感情を生じさせる

(2)事前感情は心のブレーキとして働き、思い通りに行動できなくなる

(3)行動できないので、行動したときに起こるかもしれない危機を回避できる

■その行動をしなければ、つらくなる確率が高いため、行動を強制して守ってくれる

(1)学習のもとになった経験をしたときと同じ雰囲気を感じると、事前感情を生じさせる

(2‘)事前感情は心のアクセルとして働き、望まないことをさせようとする

(3‘)行動するので、それをやらなかったときに起こるかもしれない危機を回避できる

5-5 事前感情への反応(条件反射)の例

事前感情に反応するようになる体験と、その体験によって身につけてしまう反応の例を順不同で挙げておきます。

ご自身の反応やその背景を考える参考になると思いますので、ざっと目を通してみてください。

※自分がそのような体験をしたときだけでなく、他人がそのような体験をしている様子を目撃することも同じような影響を及ぼします。

学習のもとになる繰り返し体験

○親の望みと異なることをしようとすると、いつも責められた

○頭をよく叩かれた

○自分の望みを話したときに、いつもそれを否定された

○好きなことをしていると、いつも「そんなことより勉強しなさい!」などと言われた

○何もしていないと、いつも「ダラダラするな」とか「勉強しなさい」などと言われた

○自分の思った通りに行動して失敗すると、いつも責められた

○悲しいとき、つらいときなどには、いつも放置された

○悲しいとき、つらいときに、いつも「それはお前が悪い」などと責められ、余計につらい気持ちにさせられた

○ただ悲しくて泣いているだけなのに、いつも「そんなことで泣くな!」とか「わがままを言うんじゃありません!」と責められた

○嬉しい気持ちのときに、いつも一緒に喜んでもらえなかった

○嬉しい気持ちのときに、いつも「そんなつまらないことで喜ぶな」などと馬鹿にされた

○自分の大事な気持ちを話したときに、いつも馬鹿にされた

○失敗したときに、いつも「だから言ったじゃない」などと責められた

○失敗したときに、いつも謝っても許されず、親の気が済むまで責められた

○怒られたときに、自分の思っていることを話すと、いつも逆上された

○頼みごとをされて、それを受け入れないと、いつも責められた

○自分で考えながら自分のペースで何かしていると、いつも親がイライラしてそれを自分から取り上げて代わりにやってしまった

身につけてしまった反応

○自分の気持ちとは関係なく、他人(親)の望みそうなことをしてしまう

○自分の気持ちとは関係なく、他人(親)が嫌がりそうなことを我慢してしまう

○誰かが手を上に挙げただけで叩かれそうな感じがして身構えてしまう

○望みを話そうとすると、話したい気持ちが萎えてしまう

○望みを話そうとすると、喉がつかえた感じになって言葉が出なくなる

○望みを叶えるより、一般的に評価されそうなことを優先してしまう

○望んでも仕方ない感じがする

○ゆっくり休めない

○何もしていないと罪悪感が生じる

○誰かに後押しをしてもらわないと、自分の考えた行動ができない

○誰かの許可がなければ行動を起こせない

○失敗したら、許可した人のせいにしてしまう

○悲しい気持ち、つらい気持ちは、人に話したくない(隠したくなる)

○悲しいとき・つらいときなどには、ひとりになりたくなる

○失敗したときに、自分ひとりで解決しないといけないと思ってしまう

○悲しくても何でもない振りをしてしまう

○悲しさを感じない

○悲しくなると自己嫌悪に陥って余計につらくなる

○嬉しくても何でもない振りをしてしまう

○嬉しさを感じない

○自分の大事にしていることは人に話したいと思わない

○直ぐにでもできることを夢にして実現しようとしない

○何かしようとすると不安な気持ちになって行動できなくなる

○失敗したときにそれを隠したくなる

○成功が確約されなければ行動できない

○他人(親)の怒りそうなことはできない

○相手の感情の責任が自分にあるように感じてしまう

○相手が怒っていると何も言えなくなる

○頼みごとを断りにくい

○頼みごとをされると怒りが生じる

○自分でやっても仕方ないと思う

○初めてのことは不安で手が出せない

○他人が自分の思う方法と違うことをしていると、黙っていられずに口出ししてしまう

○他人の失敗を許せず、責めてしまう

5-6 学習された無気力

自分の感覚によって始まった行動のサイクルを、誰かから中断させられたり、行動した結果を否定されたりすると、つらい気持ちになります。

そのようなことが日々繰り返されるのはとても苦痛です。

そこで、そのような体験を回避する方法を学習していくことになります。

「行動のサイクルを始めれば、誰かから苦痛を与えられる」という状況を回避するには、次のような方法が考えられます。

■相手の反応を確認しながら(顔色をうかがいながら)、「自分の行動のサイクル」(自分が感じ -> 自分が考え -> 自分が行動する)を進めていく

■自分が直面していることに、既知の「相手の行動のサイクル」(相手が感じ -> 相手が考え -> 相手が行動する)で対処できる場合は、その行動のサイクルを模倣する

■自分が直面していることに、既知の「相手の行動のサイクル」で対処できない場合は、相手だったらどうするかを想像し、その架空の「相手の行動のサイクル」と同じように、感じ、考え、行動しようとする

■「自分の行動のサイクル」の一部、又は、全部を相手に明け渡す

※文中の「相手」は、「過去に、自分に対して、否定的な関わりを繰り返してきた人」(主に、親や養育者)を指します。その相手は、その場にいてもいなくても、心理的な影響を及ぼし続けます。

これらの反応を効率的に引き起こす方法が、自分を感じない状態にしたり、考えられない感覚、行動できない感覚、無気力感などを生じさせたりすることなのです。

このようにして陥った無気力が、「学習された無気力」という状態です。

つまり、学習によって身につけた条件反射が、自分を守るために、主体的に無気力という状態を生じさせているのです。

厄介なことに、このような条件反射は、「自分に対して否定的な関わりをしてきた人」が、その場にいなくても生じてしまいます。このようにして、自分の行動が、自分を否定してきた人によって支配されるようになり、主体性がなくなってしまいます。

初めのうちは、無意識の中でそのような支配を受けながらも、それに気付かずに「自分の望みに従っている」と信じて行動しています。

そのように過ごしているうちに、自分の行動に疑問を抱くようになってくるのですが、それでも、しばらくは気力によって乗り越えることができます。

しかし、やがて、「自分の望みではないこと」を自分の望みだと信じ込んでいると気付かないまま、頑張ることに疲れて気力を失っていきます。

そのようにして、日常的な無気力状態に陥ってしまいます。

このように「人からつらい目に合わされる危険」を回避するための感情や、そのような危険を回避し続けた結果として陥った心理状態を、一般的には、無気力と解釈され、そのような心理状態に陥らせた張本人よりも、そのような状態にさせられてしまった人の方が責められるのです。

学習された無気力の背景には、本人の心の問題ではなく、「自分で考えて行動することを阻害され続けた経験」があるだけです。

本人も前向きに取り組みたいと思っているのですから、責められるべきではありません。

5-7 条件反射対策

条件反射によって、自分の心身の安全が守られている場合、過去につらい体験をしたときと似た雰囲気を感じとり、その体験をする前に、その時に感じたつらさや悲しさなどの感情が事前感情として再現されています。

その感情が原動力となって条件反射を生じさせ、過去と同じような体験をすることを防いでくれるのです。

これらのことから、条件反射の支配から自由になるための対処方法として、次の4つが考えられます。

(1)自分の「今の環境」と「過去の環境」を区別する

(2)原動力となる感情を排出する

(3)学習を置き換える

(4)感情の排出を実践できる安心な人を確保する

これらを順に説明していきます。

5-7-1 今の自分の環境と過去の環境を区別する

過去の環境が、どのようなものだったかを理解できれば、現在の環境に同じ問題があるかどうかを判断できるようになります。

まず、過去において「自分を傷つける人は誰だったか?」「自分を傷つけた出来事は何か?」を確認します。

条件反射の対象が明確になれば、それ以外のことに反応する必要がないという理解につながり、その理解が条件反射を徐々に薄れさせてくれます。

次に、「過去に心が傷ついた自分を、更に傷つけた人は誰だったか?」、又は、「心が傷ついた自分を救ってくれなかった人は誰だったか?」を確認します。

条件反射を身につけなければならなかった本当の理由は、実は、傷つけた人や出来事ではなく、このような人間関係なのです。

「誰も守ってくれなかった、誰も助けてくれなかった、だから自分で自分を守る」、これが条件反射による守りが必要になる理由です。

この条件反射を身につけなければならなかった本当の理由を考えるのは、とても難しいところがあります。

その理由は、2つあります。

1つ目は、意識が傷つけた人や傷ついた出来事に向いてしまっていることです。

2つ目は、子供の頃の「傷ついた心を更に傷つけられた」、「傷ついた心が救われなかった」といったことが日常的であったために、問題のある場面が普通のことや当たり前のこと、すなわち、何の問題もない場面として認識されていることです。

これらの理由によって、問題のある場面を探そうと過去を振り返ってみても、問題のある場面として意識に上ることはほとんどないのです。

更に、そのような場面では、つらさや悲しさなどを感じないようにすることが習慣になっているため、自分の感情に気付くのも容易ではありません。

つまり、場面をきっかけにしても、感情をきっかけにしても、条件反射を身につけなければならなかった本当の理由となる状況を思い出すことが難しいので、気付くきっかけがないのです。

心理カウンセラーは、そのあたりのことに気付きながらも、自分だけが先走ることなく、相談者の気付きのペースに合わせて寄り添ってくれます。

心理カウンセラーとのこのような関わりが、自分だけでは気付きにくい「条件反射の本当の理由」に気付くきっかけとなります。

最近はトラウマという言葉が一般的になりました。

トラウマは、「つらい出来事によって心に負った傷」という意味です。

ですから、ほとんどの人は、トラウマと聞くと、その原因として、つらそうな経験を想像すると思います。

しかし、トラウマの本当の原因は、そのような出来事ではありません。

つらい出来事は単なるきっかけであって、「つらい出来事をトラウマにしてしまう原因」がトラウマの本当の原因です。

それは前に説明した、「傷ついた心を更に傷つける人がいた」、或いは、「傷ついた心を救ってくれる人がいなかった」ということなのです。

このような「トラウマの原因となるような関わり方をする人」とのやりとりを、普通のやりとりとして受け入れてしまうと、「傷ついた心は、人によって救われる」という事実を知らないままになるため、未来に起こる様々な出来事もトラウマとして心に刻み続けていくことになります。

子供の頃の自分を振り返って、次のようなことに気付ければ、これまで自分を傷つける世界、自分の心が救われない世界として一体化していた現在の世界と過去の世界が分離します。

(a)心が傷ついたとき、更に、傷つけられたり放置されたりした事実

(b)傷ついた心を、更に、傷つけたり放置したりした人(主に、親や養育者)

(c)傷ついた心を、更に、傷つけられたり放置されたりしたときの気持ち

(d)始めに心が傷ついたときに、(b)の相手にして欲しかったこと

これらの確認は、今の環境には(b)で確認した「傷ついた心を更に傷つける人」がいないということ、或いは、(b)で確認した人以外には「傷ついた心を救ってくれる人」もいるということに気付くきっかけになります。

それに気付くだけで条件反射は次第に薄れていきます。

更に、このように確認したことを、心から受け入れられれば、飾らないありのままの自分を受け入れてくれる人や場所を、自分できちんと選択し、自分が求めている人間関係を作れるようになります。

5-7-2 原動力となる感情を排出する

感情を排出する際のポイントを挙げておきます。

5-7-2-1 条件反射の原動力となっている感情に気付き、その感情を排出する

この感情の正体は、ほぼ100%苦しみや悲しみです。

そして、それを排出する適切な方法は「泣くこと」です。

この苦しみや悲しみの感情が生じる状況を避けるために条件反射を起こすわけですが、苦しみや悲しみの感情が生じる状況に陥ってしまった場合には、条件反射は、その感情を感じさせないようにも働くので、感情の排出を妨げてしまいます。

ですから、泣いて感情を排出することは、心に苦しさを抱えてしまう人にとっては、とても難しいところがあります。

5-7-2-2 怒りは感情ではなく状態である

感情を喜怒哀楽という言葉で表現することがあり、多くの人は怒りも感情だと思っていますが、実は、苦しさや悲しさなどの感情が蓄積されてしまった結果として陥る状態です。

怒りの裏にはつらい気持ちや悲しい気持ちが必ず隠れていることを知っておいてください。

苦しさや悲しさを排出しなければ、怒りを爆発させただけでは、心は楽にはなりません。

5-7-2-3 一人きりにならず誰かに寄り添ってもらう

一人きりで泣いてもスッキリするところはありますが、心からの安心感にはつながりません。

「その感情を生じている自分」と「泣いている状態の自分」を他の人に肯定してもらえば、一人きりという感覚から解放されます。

そのような肯定は、複雑な言葉を使わなくても、誰かにただ一緒にいてもらい、背中をさすってもらったり、「そうかそうか」と相づちを打ってもらったりするだけで簡単に実現できます。

5-7-2-4 感情を排出した後、気持ちが楽になったことを自覚する

「泣くことは悪いこと」と考えていると、泣いた後、せっかくスッキリした気持ちになっているのに、それに気付かずに、泣いた事実だけに意識が向かい、泣いた自分を責めて苦しい気持ちにしてしまいます。

しっかり泣いた後の自分が楽になっていることに、きちんと気付くようにしてください。

そして、泣いてみて楽になったら、「泣いても何も解決しない」、「泣くことは悪いこと」といった思い込みは捨てて、「心をスッキリさせられる唯一の手段は泣くこと」と確信して下さい。

5-7-2-5 第三者に感情を吐き出す

感情の対象となる相手に向かって、感情を吐き出す必要はありません。

むしろ、ため込んだ感情を当事者に対して吐き出すことは、人間関係のトラブルを引き起こしてしまう可能性が高いので避けた方が良いでしょう。

第三者に話を聞いてもらうと、気兼ねなく感情を吐き出せます。

また、実際の場面に影響を及ぼすことも一切ないので安心です。

5-7-2-6 健康的な心の持ち主は、我慢をせず、誰かに弱音を吐いて心を回復させている

他の人から見て、強い心だと感じる人は、別に、強い心を持っているわけではありません。

無意識の部分で「誰かに感情の排出を手伝ってもらえば、心を回復させられる」と分かっているので、つらくなることを、それほど怖く感じないだけなのです。

5-7-3 学習を置き換える

ため込む前のささやかな感情を自然に表現する練習を通して、過去の誤った学習を、現実に沿った学習に置き換えていきます。

(a)感情をせき止めていたダムを決壊させて、ほんのささやかな感情でもスムーズに流れ出るようにする

(b)「(2) 原動力となる感情を排出する」のようにして、「ため込んだ感情を排出すれば楽になる」という体験を繰り返し、「苦しさや悲しさは我慢しなければならない」という誤った学習を、「苦しさや悲しさは排出すれば楽になる」という学習で置き換えていく

(c)「自分の感覚や感情や考えを表現すると『反抗するな!』などと責め立てられる」という学習を、「自分のちょっとした感覚や感情や考えを表現しても、普通の人は、そのように感じたり考えたり表現したりした自分を、否定したり責めたりしない」という学習で置き換えていく

5-7-4 感情の排出を実践できる安心な人を確保する

心を回復させるために、自分の感情を安心して排出させてくれる人がいれば、「(3)学習を置き換える」のような体験がいつでもできるという安心感につながります。

最終的には、普段の生活の中で、そのような人を見つけられれば良いのですが、それにこだわり過ぎると自分を追い詰めて苦しくなってしまう心配がありますので、心理カウンセリングルームなどを気軽に活用すると良いと思います。

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この記事は、ピュアハート・カウンセリングの心理カウンセラー 田中 順平 が書いています。

心理カウンセラー 田中 順平

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