心の苦しさと悩みを解決する記憶ネットワーク再構築療法

02. コミュニケーションの正しいイメージを身に付ける

2-1.コミュニケーションの役割

世界観は、『客観・価値観・主観』によって構成されています。

コミュニケーションの役割は、お互いの世界観を、それぞれの人にとってより良いものに変容させていくことだと考えています。

『妄想』という言葉がありますが、これはそれほど特殊な事ではありません。

人が世界に対してもっているイメージの全ては妄想である

といっても過言ではありません。

しかし、その妄想が、コミュニケーションによって、修正されたり、共有する人の割合が多くなっていくことで、それは社会的には妄想とは呼ばれなくなっていくのです。

逆に、コミュニケーションがうまくいかずに孤立してしまった個人の妄想を、社会は妄想と呼ぶのです。

子供が、家庭の中で健全なコミュニケーションを身に付けていれば、家庭で身に付けた世界観も、新しい人間関係の中でも適応できるように必要に応じて修正されていきます。

そこで修正されるべきことは、

  • その家庭独特の社会から孤立した世界観
  • 子供の頃の思い込み

の2つです。

それが修正されずに孤立した妄想として残ってしまうと、社会や他人とのギャップに苦しんだり、独りよがりな行動や犯罪を引き起こしたりすることにつながってしまうのです。

孤立した世界観でも、それを持つ人にとっては、「それが世界のルールである」という位置づけは、社会性のある人の世界観と何ら違いはありません。

ですから、他の人こそ異常だと思ったり、非社会的行為をしても本人に罪の意識が無かったりするのも不思議ではないような気がします。

自分の子供をそのような状態に陥らせない為に、多くの人と正しいコミュニケーションをもてる基礎を築かせてあげることが大切なのです。

【まとめ】

  • 修正されずに残ってしまった孤立した妄想による行動は、社会には受け入れられない
  • コミュニケーションが世界観を修正するきっかけを作る。

2-2.コミュニケーションの正しいイメージ

コミュニケーションによって、世界観の重要な部分について学習するという説明はしましたが、それと共に、コミュニケーション自体に対する基本的なイメージも身に付けることになります。

コミュニケーションの基本は、ごく当たり前の次の2点です。

  • 自分の感情や感覚などを感じ、それを相手に伝える
  • 相手が気持ちや感情などを表明し、それを受けとめる

この繰り返しがコミュニケーションということになります。

これを円滑に繰り返すことでお互いを分かり合っていけるのですが、この繰り返しが始まらなかったり、途中で途切れたりすると、お互いを理解し合えない状態に陥ってしまいます。

逆説的な表現になりますが、コミュニケーションを阻害する予感を与えないことが、コミュニケーションの正しいイメージを壊さないことになるのです。

【まとめ】

  • 子供には、コミュニケーションを阻害する予感や感覚を沢山与えないようにすること
  • 子供には、コミュニケーションを促進する予感や感覚を沢山与えようとすること

【補足】 02-01. コミュニケーションの役割

2-1-1.妄想の定義

そもそも、それぞれの人が何かに対して頭の中で持っているイメージは、それがどんなものであっても、ただの妄想でしかありません。

それが、条件によっては、妄想とは呼ばなくなっていくのです。

大きく分けると、次の2つの条件があります。

(1)それが家族のもつそれと一致した場合
(2)それが社会的なそれと一致した場合

表現を替えると、お互いの妄想に差異が生じたとき、マイノリティと位置付けられる側の妄想を、マジョリティー側の人々が『妄想』と表現しているということになります。

現代社会において妄想と判断されるポイントを整理すると次のようになります。

  • 個人の妄想と家族・社会の妄想とに差異がある場合
  • 家族の妄想と社会の妄想に差異がある場合
  • 社会の妄想と他の社会の妄想とに差異がある場合
社会の妄想の例でわかり易いのが、「過去に地動説が異端とされていた時代があったけれども、現代ではそれは当然のこととして受け入れられている」ということです。
社会的な妄想は時代の流れの中で、人々が他に真実があるかもしれないと気付き、それを知りたいと思い、そして、そこに真実があればそれを受け入れていくことで、マイノリティがマジョリティになるという経緯をたどって修正されていきます。

この例で重要なことは、人々に他の真実があるかもしれないという可能性を受け入れ、そして、真実があれば受け入れようとする大らかさがなければ、妄想は変化する事はなかっただろうということです。

そして、個人レベルの妄想についても、同じことが言えるのです。

つまり、まず、自分以外の人のもつイメージを理解しようという基盤がなければ、

  • 個人の妄想は個人の妄想のまま
  • 家庭の妄想は家庭の妄想のまま
  • 社会の妄想は社会の妄想のまま

となり、それが所属する上位の階層からは孤立してしまう恐れがあるということです。

2-1-2.妄想の「形成される流れ」と「修正される流れ」

2-1-2-1.大人と子供の大きな違い

もともと、人には、自分の周りの色々な事柄や出来事を理解しようとする習性があります。

そして、その時に気付いた事柄を分析したり、情報を付加えたりして、その時々の能力の範囲において辻褄が合う体系に組み上げて理解していきます。

大人と子供では、その背景となる客観的な情報量の差は歴然です。

しかし、子供たちは、その時々に自分の知り得る情報を駆使したり、子供なりに理解できる理由を想像しながら、一つの体系に組み上げていくのです。

この「理解する為に子供なりに想像した理由」は、大人から見れば妄想ということになるのですが、子供にとっては限りなく真実に近いことです。

それが真実なのですから、当然、子供の行動にも影響を与えるだろうことは予測できますし、子供が大人には理解できない行動をすることがあるということも、理解できるのではないでしょうか。

ですから、子育てにおいては、『子供に理解させない』ということは、極力避けた方が良いと考えます。

子供が新しい情報に得たり、多くのコミュニケーションに触れたりすることで、大人になるまでには、極端な妄想は修正されていくことが期待できます。

しかし、コミュニケーション不全に陥ってしまっていたり、良いコミュニケーションに出会うチャンスに恵まれなかった場合は、修正されない妄想を抱えてしまう恐れがあり、親としては、出来る限り、その時々に子供が納得できるまで説明してあげることが大切だと考えています。

また、子供にきちんと理解させようと接することは、子供の気持ちや考えを知ったり、コミュニケーション不全に陥らないようにすること、そして、親自身の思い込みに気付いたりすることを手伝ってくれます。

2-1-2-2.妄想の修正される流れ

想像に基づいた理解は、新たな事実の発覚によって、随時修正されていきます。 特に、客観性を持ちやすい領域については、よほどのことがない限り、自然に、人類共通認識に近い形に修正されていきます。

しかし、客観性の乏しい領域、つまり、人々の主観の部分については、ある条件が満たされていないと修正されることは難しいところがあります。

それぞれの人の主観や価値観は、それぞれの人の中にあり、それが表明されない限りは知ることは出来ません。

そして、それらを『普遍的なこと』と認識していることが多く、表面的な関わりの中では言及されることは少ないようところがあります。

また、客観的事象と自分の中に生じる感情や感覚と結びついている為、自分の中に異なった感情や感覚が生じることが、価値観の変容する為の必要条件となります。

対人関係の中で感じる感覚や感情は、当然のことですが、対人関係、つまり、人とコミュニケーションを持たなければ感じることが出来ません。

ですから、主観や価値観の部分を修正する為には、人と人との触れ合い、つまり、コミュニケーションが必要なのです。

まとめると、自分にとって好ましくない主観や価値観であっても、それを、自分だけの努力で修正しようとするのは困難なだろうということです。

また、新たなコミュニケーションを求めずに、これまでと同じ人間関係の中にいるだけては、主観を修正するチャンスには、なかなか恵まれないだろうと思います。

2-1-2-3.もし、妄想が修正されなかったら・・・

コミュニケーション不全な状態に陥ると、一度組み上がってしまった妄想は、いつまでも、その人の中で修正されるチャンスがないので、変化する事がなかなか期待できません。

そして、他の人とは隔離されたその人独自の世界観の中で生きることになります。

子供にありがちな妄想の例としては、「スーパーマンは空を飛ぶから、ボクもマントをつければ空を飛べるはずだ」といったものがあります。

しかし、成長する中で、様々な情報や体験を通して、「スーパーマンは空を飛ぶが、人がマントを付けても空を飛べない」と認識するようになります。

しかし、もし、子供の頃の妄想が修正されるチャンスに恵まれなかったら、社会人になって親の監視から自由になったとたんに、マントをつけてビルの屋上から空に向かって飛び立ち兼ねません。

これは、極端な例ですが、普通の感覚では理解しがたい犯罪を引き起こされる理由も、同じように説明できるだろうと考えています。

ですから、犯罪などの原因は、その人の心の問題と言うよりは、過去のその人を取り巻いたコミュニケーション不全と、修正されるチャンスをもてなかった妄想にあると思います。

現状のように、ただ罰を与えるだけ更生できる場合もありますが、このような妄想が関わっている場合は、それでは妄想の修正は期待できず、再犯の可能性を減らす事は難しいと考えます。

コミュニケーションの不全によって、自分の子供たちをこのような状態にしてしまう恐れがあることを理解してください。

正しいコミュニケーションの能力を身に付けさせるために、家庭の中で、親が正しいコミュニケーションを行っていくことが、より良い社会を作るために最も大切なことなのです。

少年犯罪が起こるたびに繰り返される「挨拶が出来る良い子だったのに」というコメントは全くの見当外れです。

その子の家庭がどのようなコミュニケーションを行ってきたかに目を向けなければその真相を理解することはできないはずです。

余談ですが、「人も空を飛べるはずだ」という妄想的な考えと、「普通にしていては、人はそれを飛べない」という現実から、ライト兄弟のように、飛行機の発明につながったりする事もあります。
これは、妄想だけではなく現実ともきちんと向き合ったから、夢を実現できたということで、妄想がそれを実現したというのとは、少し違います。

【補足】 02-02. コミュニケーションの正しいイメージを身に付ける

2-2-1.コミュニケーションの正しいイメージ

コミュニケーションの第一の目的は、次のように説明できます。

空間や時間を共有する人が、互いの感情や感覚や思考を共有しようとする試み

ここで重要なのは、どちらか一方の主張を押し付けるのではなく、ただ『知る』ということです。

そして、たとえ、その主張に相違が生じても、『知った』ということで、放置すれば良いことなのです。

その結果、お互いの主張の相違が露呈して、某かの解決をしなければならない時、次のステップとして、主張のすり合わせが行われる場合があります。

この『主張のすり合わせ』に対する過去の経験の記憶によって、コミュニケーションの第一の目的である『お互いを知る』ということを見失わさせることがあります。

『知ってもらう』ということが目的だったはずなのに、相手に知ってもらえたと感じられないまま、相手の主張に押し切られてしまうことを繰り返し経験すると、もともとの『知ってもらう』という目的が、本人が気付かないうちに、『自分の主張が選択される』ということに変化し、それを自分の本当の気持ちのように錯覚してしまうようになります。

また、「自分が何かを主張しても、どうせ分かってもらえない」という予感を身にまとってしまうことにもつながってしまいます。

親は、子供よりは遥かに多くの経験をしているので、子供が何かの問題に直面して悩んでいると、親が子供の感情や感覚・思考を理解し尊重しようと意識していなければ、親が分かっている結論を子供に教えたくなってしまいます。

この親の反応はごく自然なものだと思います。

しかし、そうする事によって、『お互いを知る』というステップが省略されてしまうのです。

このようなコミュニケーションを繰り返すと、将来の子供のコミュニケーションから、『お互いを知る』というステップを奪い去ってしまうことになります。

ですから、親が子供と関わる時は、結論以外の話をじっくりとした後で、子供が親の結論を教えて欲しいと思っているかを確認した後で、子供がそれを望んでいるときに限って、そのように対処すべきです。

2-2-2.コミュニケーションを阻害するもの

【コミュニケーションを阻害する要因】

  • 相手に伝わらないだろうという予感
  • 相手を受け入れられない感覚

【コミュニケーションを促進する要因】

  • 相手に、きっと伝わるだろうという予感
  • 相手を受け入れたい感覚

これらの「伝わらないだろうという予感」、「きっと、伝わるだろうという予感」、「受け入れられない感覚」、「受け入れられる感覚」などの強弱が、その人にとってのコミュニケーションのイメージになります。

世界観のベースを作るのがコミュニケーションであれば、それを修正することを手伝ってくれるのもコミュニケーションです。

ですから、健全なコミュニケーションが行えるような準備を整えてあげることは、子供が人生をより良くしていく為の最大のプレゼントになるのです。

コミュニケーション能力は、プレゼンテーション能力的に受けとめられがちですが、相手に伝えようとする能力相手から伝えられようとする能力、そして、分かり合おうとする能力、そして、分かり合うことを諦めない能力と言えるのです。

《正しいコミュニケーションのイメージを持たせるために、親にできること》

  • 子供の言う事を否定せず、まず、聞き入れること
  • 親が自分の事を押し付けずに、ごく普通に説明すること
  • それぞれが、異なっているという事を、お互いに認識すること
  • 特に共通認識を必要としない場合は、無理に結論を出さずにそのままにしておくこと
  • 共通認識が必要な場合は、両方の感情や感覚を大切にする方法を一緒に考えること

2-2-3.コミュニケーションの不全によって陥る可能性のある状態

2-2-3-1.人生において願いが叶わないという感覚を身に付ける

コミュニケーションの不全によって陥る状態にも、色々なものがあると思いますが、ここでは、子供の人生に関わる一番大切な部分だと考えていることについて説明します。

それは、人生や「生きる世界」に関して、どのような印象を持ってしまうかということです。

子供は、「将来自分が一人前になった時に生きていく世界」に対する漠然とした印象を、家庭の中で身につけいくのだと考えています。

なぜなら、家庭は幼い子供にとっては、自分が生きる世界そのものだからです。

家庭の中で『自分にとって大切なもの』が大切にされると感じれば、人生に対して「自分の願いはきっと叶う」という印象を持ち、逆に、大切にされないと感じれば、「自分の願いは叶わないだろう」という印象を持ってしまうのです。

詳しくは説明しませんが、この本全体から、その意味を、きっと理解して頂けると思います。

2-2-3-2.自問自答の状態

また、コミュニケーション不全に陥っている時、コミュニケーションは次のような構図になってしまいます。

  『自分』 ⇔ (自分が想像した相手) ⇔ 『相手』  

その結果、「本当の気持ち」と「本当の気持ち」の交流が阻害され、お互いに誰と話しているのか分からない状態になっているのです。

自分は相手の人と話しているつもりだから、混乱の認識は無いかもしれませんが、相手の人は話がサッパリ分からない状態になってしまっている恐れがあります。

2-2-3-3.他人に暴力をすぐ振るったりを、平気で殺せること

これは、人がコミュニケーションの対象ではないという感覚によるのだと感じています。

つまり、それらの傾向のある人の中では、人は、コミュニケーションを行わない『物』に位置づけられているのかも知れないということです。

2-2-3-4.浮気の連鎖

気持ちを伝えたい相手に、本当の気持ちを伝えることが難しい為、第三者への相談が必要になってきます。

この時、異性に相談する傾向がある場合は、浮気へと発展する可能性が秘められています。

しかし、浮気相手の心に占める割合が大きくなると、浮気相手のことを相談する為の、別の人が必要になってしまいます。

このようにして、一人のパートナーと深く関われない傾向性をもってしまうようになるのだと考えています。

2-2-3-5.一目ぼれの傾向

コミュニケーションの乏しいところで、恋愛が始まるのが一目ぼれの特徴です。

実際の相手ではなく、自分のイメージを相手に当てはめて、そのイメージの相手に恋愛しているのです。

ですから、相手の現実を知ってくると、肥大化していた妄想が縮小していくので、相手から離れたくなってしまうところがあります。

【余談1】
心の苦しさと恋愛感情を勘違いしてしまうことも、一目ぼれしやすいことの原因だと考えています。(吊り橋効果)

【余談2】
コミュニケーションが苦手な為、運良くカップルになった場合、その相手が自分の望んでいない相手であると分かりながらも、再び新しいパートナーに巡り合えないかもしれないということを恐れて、望まない相手と分かれられない状況に陥り易いところもあります。
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この記事は、ピュアハート・カウンセリングの心理カウンセラー 田中 順平 が書いています。

心理カウンセラー 田中 順平

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