心のマニュアル
■■子育てマニュアル(2)■■ (第4章 心の発達に関わる理解【補足説明】)
この章は、子育てマニュアル(1)の補足説明集です。
子育てマニュアル(1)と合わせてお読み下さい。
3.自分の感情や感覚と向き合える能力を身につける
3−7.心の自立
子育ての目標に、『社会で自立できる大人に育てること』という気持ちを持たれている親御さんは多いと思います。
でも、『社会で自立する』って立派なスローガンを掲げてしまうと、いざ、それを具体的に実践しようとした時に、「それって、いったい、どんなことなのだろう???」と困ってしまうことも多いのではないでしょうか?
ですから、「子育ての迷い」というのは、自分の子供に対する迷いではなく、実は、『社会で自立する』という言葉に対する自分自身の迷いだと理解した方が良いのではないかと感じています。
『自立』という漠然とした言葉の呪縛から離れる為には、まず、「心の自立」という部分を押さえておくことが大切だと考えています。
「心の自立」という言葉は、心理に関する話題の中で用いられることが多いので、一度は聞いた事があるかもしれません。
次の3つに責任を持てる状態を「自立している」と表現されることが多いです。
【心の自立】
- 自分の感覚や感情
- 自分の思考
- 自分の行動
これだけでは、分かり難いと思うので、少し例を書いてみます。
【例1】
友達と喧嘩して、自分はスッキリしているにも関わらず、親が勝手に憤慨して友達の家に怒鳴り込んでしまっても、子供はそんな親の行動に責任は取れません。(でも、結果として、友達からは、その責任を問われることになったりします。)
【例2】
友達と喧嘩して気持ちが治まらず、友達の家に怒鳴り込もうと考えていた時に、親が先に怒鳴り込んでしまっては、自分がした事にならず、やっぱりスッキリしませんし、起こったことの責任を自分が取る気にはなれませせん。
【例3】
大工さんになりたいと考えているのに、親の考えを押し付けられて大学に行っても、そこでの色々な出来事の責任は自分ではなく親にあるように思えてしまうかもしれません。
まとめると、「感覚や感情」、「思考」、「行動」の3つの内の、いずれか一つでも、他の人にとられてしまうと、心に満たされないような感覚や、誰かにコントロールされているような感覚が残ってしまうのだろうと思います。
そして、そんな経験を繰り返していると、そんな感覚は、世界観としてその人に大きくのしかかるようになり、「自分の人生は、自分の力ではどうすることも出来ない」、「自分の力では幸せになれない」という世界に自分自身を追いやってしまうようになるかもしれません。
逆に、「自分の力で幸せになれそうな予感」さえあれば、親がとやかく言わなくても、子供は勝手に社会的に自立していくのではないかと思います。
心が自立した状態だと、もし、何かに失敗したとしても、振り返る先があります。
- 自分は、本当はどのように感じていたのだろう?
- 自分の考えのあの部分が良くなかったのかもしれない
- 自分の行動のあの部分が良くなかったのかもしれない
これは、非常に重要な事です。
なぜなら、自分を振り返ることは、より良い自分へと変化していくことを手伝ってくれます。
ところが、心が自立していない(自立させてもらえない)と、振り返る先が無いので、何をどう変えたら良いか分からないと感じてしまうのは、当然のことなのかもしれません。
そんな悩みが続いてしまうと、苦し紛れに、自分が存在することが悪いというような結論を出さざるを得ない心境に追い込まれることもあるのです。
【重要】
感覚や感情は別格で、誰にとってもそれは紛れの無い真実で、反省すべきものではありません。 感情や感覚を見つめる際は、その良し悪しを云々するのではなく、そう感じてしまっても当然だという自分の背景を理解しようとして下さい。
【親の心得】
- 子供の代わりに感じない/子供の感情や感覚を否定しない
- 子供の代わりに考えない/親の考えを押し付けない
- 子供の代わりに行動しない/行動できるチャンスを奪わない
- 子供の代わりに望まない/望むチャンスを奪わない
→子供が感じられるように助けようとする
→子供が考えられるように助けようとする
→子供が行動できるように助けようとする
→子供が望むことができるように助けようとする
普通の文章で表現すると、『親は、自分の感情や感覚や考えなどを押し付けずに、子供が必要とするときに、子供の話を共感しながらじっくりと聴き、子供が自ら行動するまでゆっくりと見守ってあげる』 ということです。
【想像される子供の心への影響】
1.親が子供の代わりに感じること
- 自分が感じていることを理解しようとはせずに、自分の気持ちを伝えなくても、相手が何かを感じてくれることを期待するようになってしまうかもしれません。
- 自分の感情や感覚よりも、相手の感情や感覚に目が向いてしまいがちになって、他人の感情や感覚ばかりを想像するようになるかもしれません。
- その結果、自分の感情や感覚を感じ難くなり、「自分自身がわからない」という感覚を持つようになるかもしれません。
2.親が子供の代わりに考えること
- 自分が感じたことは、自分が解決しようとしなくても、他人が考えてくれるということを期待するようになるかもしれません。
- 自分の考えではなく、相手の考えを想像するようになるかもしれません。
- 「考えても仕方がない」という漠然とした諦めの感覚をいつも身にまとってしまうことになるかもしれません。
3.親が子供の代わりに行動すること
- 自分が考えたことは、自分が何もしなくても、他の人が行動してくれるとことを期待するようになるかもしれません。
- 「自分で行動しようとしても無駄だ」と感じ、自分で行動し難くなってしまうかもしれません。
- 自分は何もしないのに、相手の行動を批評してばかりいるようになるかもしれません。
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